バブル崩壊後、日本全体が沈滞ムードに包まれ、その象徴でもあったモーター界では、顕著でした。当時『六本木タクシー』とまで揶揄されたBMWは姿を消し、それはそれで正常化したとも言えましたが、なにより残念であったのは国産車から『スポーツカー』が消えたこと。
ラグジュアリースポーツクーペのリーダー的存在、レクサスRC
それまで国産メーカーは、各社フラッグシップとなるスポーツクーペを生産していました。トヨタならスープラ(現行のスープラとは立ち位置が異なる)、セリカ、ボーイズレーサーと呼ばれたレビン・トレノ、さらにダウンサイジングしたセラ、サイノスなどなど。ノッチバックスタイルのクーペこそが、若者たちのエネルギーの代弁者だったものです。
特にセリカは、トヨタを代表するスポーツカーであり、今では死語となった『スペシャリティカー』でもありました。
優れた走行性能のレクサスRC
さて。『レクサス』が、トヨタから分離されたブランドとなって10年め。当時の若者たちが「いい大人」になり、子供も巣立てば、当然、復活するであろうと思われていたスポーツカーというカテゴリー。
レクサスでは『RC』というモデル名で2014年に登場しました。まさしく「満を持して」という言葉がピッタリです!ちなみに「RC」は、Racing Coupeの略かと思われたのですが、さにあらず。Radical(=先鋭の)Coupeの略。
最初に登場したのがRC350とRC300
それぞれ3500cc、3000ccのV6DOHCエンジンを搭載したモデルで、駆動方式は当然FR。いかにもレクサスで、スペシャリティではあるのですが、当時のセリカに憧れていた世代にとっては、「なにかが違う」感が否めませんでした。
もちろん、ビジネス戦略における位置づけでは、レクサス自体が海外向けの高級ブランドという観点から、最高級スポーツカーであった『レクサス・LFA』を一般向け(?)にしたもので、それなりに成功していると思われます。
往年の名車『セリカ』を彷彿・レクサスRC200t
そこに、ひょっこりと(という表現が正しいかどうかはともかく)登場した2リッター+直噴ターボの『RC200t』。tが「ターボ」の略であることは言うまでもないでしょう。
FRドライブ、8速AT、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)は、まさしく、あの『セリカ』からの正常進化!ハイレベルなボディ剛性が走りに効いているのはもちろん、ノイズやバイブレーションを抑制する効果もあり、プレミアムスポーツに相応しい乗り味を実現しています。
動力性能でも高い評価を獲得しており、レクサスが力を入れているボディのメリットが如実に感じられる結果となっています。
まとめ
発売からまだ数ヶ月ほど(2015年10月1日発売)なので、試乗こそできていませんが、初めてセリカのステアリングを握った時の、あのワクワク感を期待せずにはいられません。
レクサス・ブランドのスポーツクーペであることがひと目でわかる美しいデザインは、確実に所有する満足感を与えてくれることでしょう。
動画:LEXUS RC - Design